欧州の行方 2012 1 22

 フランス国債の格付けが引き下げられて、1週間以上たちますが、
多くの人が、「意外にも市場は静かに経過した」と思ったでしょう。
 市場は、「織り込み済み」、
あるいは「灰汁抜け(あくぬけ)」という反応だったのかもしれません。
 しかし、後世の人たちから、
「あれが、結局、ユーロ崩壊の引き金になった」と言われないために、
ユーロ圏の結束と維持に努力すべきです。
 今まで、ドイツとフランスがユーロを支えてきたのに、
ついに格付けにおいて差が出てしまったことは、
将来を暗示しているような予感がするのです。
 ユーロ崩壊とまで行かなくても、
ユーロのマルク化、
つまり、ユーロが実質的にドイツマルクになってしまうような予感があります。
要するに、ドイツマルクが姿形を変えて、ユーロとして復活するような感じがします。
 数百年後の人たちからは、
「ドイツの通貨はユーロで、
フランスやイタリアはドイツの通貨を使っていた。
みんな、ドイツに頼って生きていた」と言われるかもしれません。
「なぜ、そうなってしまったのか、答えなさい」と、
歴史の教師が生徒に質問しているかもしれません。

デフレ志向か 2012 1 8
 昨年の読売新聞だったでしょうか、
私の記憶が正しければ、こんな記事があったと思います。
 ドイツは、アメリカと比べて、
持ち家が少なく、
賃貸のアパートや借家が多いというのです。
 そうなると、ドイツ人は、インフレを嫌うでしょう。
インフレは、家賃上昇を意味するからです。
 一方、アメリカは、持ち家が多いので、
インフレになっても、資産価値が増加します。
 つまり、ドイツは、結果的にデフレ志向で、
アメリカは、インフレ志向となります。
 しかしながら、ドイツが、デフレ志向だとすると、
欧州は、深刻な事態になります。
 デフレの時代に、現金は王様となり、
借金の負担は増加します。
 だから、デフレの時代は、個人も企業も、借金返済に夢中となり、
現金を使わず、現金を貯めこむ傾向が出てきます。
 一方、インフレでは、借金の負担は軽減し、
現金の価値は減少します。
そういうわけで、借金がある人は、インフレを歓迎すべきです。
 欧州のリーダーであるドイツがデフレ志向だとすると、
欧州で借金を抱えている人たちは、つらいでしょうね。
 日本は、バブル崩壊後、
借金の担保になっていた不動産の資産価値が、
資産デフレで、下落に次ぐ下落を繰り返していました。
 しかし、借金の額面は変わりません。
そのため、リストラに次ぐリストラで、
いつになっても、リストラが終わりませんでした。
 担保不動産の価値が10分の1ぐらいになったところで、
やっと下落が止まり、リストラも終止符を打つことになったのです。
 気がつけば、10年以上経過していました。
これが、後に、「失われた10年」と言われることになりました。
 日本にとって、不幸中の幸いだったのは、
この期間において、原油相場が20ドル前後で低迷していたことです。




























































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